- 車社会のロサンゼルスで、車を持たずに生活するという現実。
※この記事は「アメリカ移住の現実」をテーマにした連載の一部です。
ロサンゼルスは車社会だと、来る前からわかっていました。
それでもどこかで、「公共交通機関もあるし、何とかなるだろう」と思っていたのも事実です。
でも実際に生活してみて、その考えはすぐに崩れました。
ロサンゼルスで車がないということは、行動の自由を大きく制限されるということだったからです。
日本のように電車やバスが網の目のように張り巡らされているわけではなく、公共交通機関は「使えなくはない」けれど、「生活の足」としてはかなり心許ない。
車を持たない人の移動手段は、基本的にバス、電車、Uber。この三択になります。
自転車で片道40分、1時間以上の通勤をしていた頃
ロサンゼルスに来た当初、私は自転車で片道40分かかる職場に通っていました。
別の時期には、ダウンタウンまで1時間以上かけて通勤していたこともあります。
最初は「海外生活の経験になる」「慣れれば平気だろう」と思っていました。
でも、毎日の通勤は想像以上に体力と気力を削ります。
基本的に自転車通勤している人を私は見たことがなく、
車の運転手も自転車が走っていると思って運転していないので、夜などは真っ暗で、
危険と隣り合わせ。
また秋は木からとげのある実が落ちる季節で、週1ペースで自転車がパンクしていました。
これは日本で自転車通勤をしていた時とは、環境がまったく違いました。
何よりきつかったのは、「常に気を張っていなければならない」という感覚です。
自転車や歩行者は、決して優先される存在ではありません。
事故に遭ってから、通勤が怖くなった
自転車で通勤していたある日、私は車に衝突される事故に遭いました。
幸い大きな怪我はありませんでしたが、その出来事をきっかけに、通勤に対する恐怖心が一気に強くなりました。
ロサンゼルスは運転が荒く、渋滞も多い街です。
車線変更もスピードも、日本とは感覚がまったく違う。
事故に遭ったあと、「また同じことが起きるかもしれない」という不安が常に頭のどこかにあり、通勤そのものがストレスになっていきました。
「車を持てば解決する」と言われても
周囲からは、「車を持てば楽になるよ」と言われることもありました。
確かに、車があれば移動の自由度は一気に上がります。
でも、事故の経験や、運転の荒さ、渋滞の激しさを目の当たりにして、どうしてもハンドルを握る気持ちになれませんでした。
これは努力不足でも、甘えでもなく、精神的なブレーキだったと思っています。
ロサンゼルスに来てから約2年間、私たち夫婦は車なしで生活していました。
収入に少し余裕ができて車を持つことになりますが、
そして私は免許証も持っていますが、運転はできていません。
車がないことで生まれる「見えない生活コスト」
車を持たないことで、生活の中にさまざまな制限が生まれます。
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働ける場所が通える範囲に限られる
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夜遅くなるとUberを使わざるを得ない
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Uber代が積み重なり、出費が増える
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行動範囲が狭まり、人との出会いも減る
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仕事の選択肢そのものが少なくなる
こうしたコストは、目に見えにくいですが、確実に積み重なっていきます。
「車がない=不便」という単純な話ではなく、
車がないことで、人生の選択肢そのものが狭まるという感覚でした。
公共交通機関が生活の足にならない現実
ロサンゼルスにもバスや電車はあります。
でも、日本のように時間通りに来るわけでもなく、路線が充実しているわけでもありません。
そしてそもそも治安への不安もあり、特に夜の移動は気を遣います。
通勤だけでなく、「少し出かける」という行為自体が心理的な負担になることもありました。
車社会は、努力では乗り越えられないこともある
「慣れれば大丈夫」「気合いで何とかなる」
そう言われることもあります。
でも、車社会は個人の努力だけでどうにかできるものではありません。
それは街の構造そのものだからです。
車を持てない人が不利になるのは、ロサンゼルスでは当たり前の前提条件でした。
これからロサンゼルスに来る人へ
ロサンゼルスで生活するなら、車は「あると便利」ではなく、生活の前提条件です。
もし車を持てない、あるいは運転に不安がある場合は、
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住む場所
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働く場所
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通勤方法
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生活費
これらをセットで、かなり現実的に考える必要があります。
夢や理想だけでは、生活は回りません。
でも、現実を知って準備すれば、選べる道はあります。
おわりに
車なしでのロサンゼルス生活は、想像以上に厳しいものでした。
それでも、この経験があったからこそ、自分に合う働き方や生き方を真剣に考えるようになったとも思っています。
これからロサンゼルス移住を考えている人にとって、
この現実が一つの判断材料になれば嬉しいです。

